キッチンステンレス天板/洗剤で発生した黒いシミを復元
幾度となく当店では塩酸ベースの洗剤をステンレスや金属に使用されぬ様、注意を投げかけております。
勿論、使用される前に当店のサイトを見ているわけでもなく、SNSや動画サイトの宣伝の方が遥かにバズっております。
納得がいかないのはプロのクリーナーが一般の方達が拝見するであろう物をアップ(投稿する事)です。
「10秒したら流して下さい」「注意が必要」とは流しているものの、基本的に塩酸ベースの洗剤(主にトイレ用が多い)は金属腐食スピードが早いのです。
今一度、塩酸成分についてご説明します。
塩酸ベースの洗剤は主にカルシウム系の汚れを溶解するのに使われます。
カルシム系の汚れとは蛇口回りに着いた歯石の様なカリカリした白い物体。
又はトイレの尿石。
塩酸は酸性成分の中でも強酸性で、特にカルシウム汚れの中でも強い尿石対応として使われております。
尿石は80%程シュウ酸カルシウムという成分であります。
この尿石の成分を退治するのに強酸性である塩酸や硝酸が使用されます。
ではステンレスシンクやステンレスの天板に、尿石の様な強いカリカリしたカルシウムは付着しているでしょうか?
水栓金具付近はボチボチ見受けられますが、シンクや天板にそこまで強いカルシウムを長年クリーニングしてますが、そうそう見当たりません。
では10秒程ステンレス部分に塩酸を当てて、何を解決したいのか?
水道水に含まれるミネラルはカルシウム、マグネシウム、ケイ素などです。
見た目がカリカリしてなくても水垢汚れに微量のカルシウムも含まれているであろう。
その様な見解からカルシウム対応の洗剤を塗布する事は間違いではございません。
我々クリーニング業者は、塩酸以外でも優しいカルシウム溶解用の洗剤を所持できます。
その様な洗剤で対応できれば良いですが、塩酸は先程も述べましたが金属腐食スピードが早いです。
微量のカルシウムの為に塩酸を使用するにはハイリスクと言えるでしょう。
結果、多くの方達が塩酸の洗剤で黒く焼いてしまって落ち込んでおります。
個人的な意見ですが、今後は「塩酸でステンレスを綺麗にする」というサイト更新ではなく「塩酸はステンレスにリスクが高い」と注意を促した方が良いかと思いますよ。
今回もそんなダメージを受けたキッチンステンレス天板の再生のご依頼。
ヘアライン仕上げの綺麗な天板ですが、塩酸によるダメージは深かったです。
もし、プロがSNSで進めなければ…動画をアップしなければ…
試された一般の方達は痛い代償を追うだけです。
今回の施工で気を使ったのはダメージ分部を復元するのは勿論ですが、ヘアラインを崩さぬ様仕上げる事。
これを施工テーマとして仕上げました。
深いダメージは施工後に目立たなくなりましたね。
また、ヘアラインもしっかり保っております。
案外難しいんですよ💦
今後はリスクの高い洗剤を使用せず、日頃のお手入れをして頂く事をお話ししました。
万が一、やってしまった!なんて事がございましたらご相談ください。
100%消すと断言はしかねますが目立たなくはさせられるかと思います。
ステンレス研磨東京