御影石のコーティングを剥がす作業
先日、御影石に塗布されたコーティングの剥離作業を行いました。
コーティングの材質はセラミックコーティングとお聞きしました。
セラミックコーティングはコーティング種類の中でも最も硬度が高い塗膜性のコーティングとなります。
硬度が高ければ傷もつきにくいです。
しかしながら、御影石や大理石には塗膜性のコーティングは不適切となります。
高級な天然石だからこそ、傷をつけたくないと思われる方が多く、また施工業者も「それなら!」とセラミックコーティングを推薦してしまいがちです。
では、なぜ天然石を好まれているのか?をお聞きしたい。
なんといっても高級感があり、その加工された石の光沢感に惚れられたのではないでしょうか?
当店も天然石に対してコーティングは行っておりますが、この「塗膜性」はお勧めいたしません。
これは常々お伝えしている事なのですが、理由としては…
①コーティングの光沢による不自然さで本来の石の光沢感とは違うものになってしまう。
②石が窒息する。
です。
②の「石が窒息」するとは?
天然石にはポーラス(気孔)と言う穴があり、そこから呼吸のような働きをしております。
セラミックコートのような塗膜性のコーティングを塗布することによって湿気も籠もり、石の呼吸を塞いでしまう事になるのです。
そうなるとさらに石は…劣化現象が進み、脆くなります。艶も上がらなくなります。
「とにかく傷をつけたくない」「石そのものの風合いより傷を防ぎたい」と言う方には適していると思います。
当店の推薦するコーティングは浸透性のコーティングとなり、傷や輪ジミを防ぐタイプとは異なり、汚れ防止のコーティングとなります。
やはりクリーニング業者としては汚れを防ぎ、素材の風合いを生かす方を推薦しますね。
さて今回のご依頼ですが、その様な理由で剥離作業をご依頼してこられたのではなく…
コーティングの施工ミスによるムラです。
室内約8㎡ほどの御影石。
キッチン天板及び窓ガラスの桟部分。
一部の輪ジミをどうにかしてほしいとの依頼から御影石全体にセラミックコートの塗布を勧めたらしく、その全てを塗布したらしいのですが。
あちらこちらがムラだらけ。
御影石の上部がムラムラです。
こんなのがあちらこちらとスレた状態でありました。
これがストレスで剥離作業を決断されたそうです。
完全硬化されたセラミックコートの剥離は容易ではなく、あの手この手を使いコーティングを剥がしていきます。
当然のことながら、スクレーパーも必要となります。
但し、スクレーパーだけでは一日で作業が終わりません。
また箇所箇所によっては非常に分厚く施工されている。
見た感じは素人の施工と言って良いレベル。
2人掛かりで5時間作業となりました。
中々手強かったセラミックコート。
塗布された期間がそれほどの年月が経っておらず半年程度との事でしたが、これが3年、5年と経過してたら御影石はどうなっていたことやら…
お客様の剥離判断をされた月日が幾分早くて助かりました。
お陰で石の命が救われましたね。
まず、この様なコーティングを塗布する前に、お客様には事前に説明をしなければなりません。
それと塗るのであれば、奇麗にしっかり塗ってほしい。
あれではご自身で塗られた方がマシだと言う事です。
今回は少し辛口な投稿となりましたが、これは施工業者への訴えです。
何より一番不快な思いをされたのは、この施工をチャージされたお客様です。
塗り逃げせずにしっかり対応してほしい物ですね。